suckoflife

日常の生活を

2016/06/08

 

「インターネットのボスがやってる飲み屋に行こう」
って友達が言った。インターネットのボスってなに。
訊くとインターネットお洒落文化系女子の親玉みたいな人がいて、その人がバーをやっているから飲みに行こうみたいなことで、へえ面白そうとまず思った、面白そうだけど全然インターネットの中核にいない自分がいきなりボスと相対していいんかい、とも思った、結局ご馳走してくれるっていうから喜んで行くことにした。
なぜご馳走してくれるのかというと私は過去そいつにちょっとだけ親切にしたことがあり、親切にした御礼に奢ってくれるんだと思う。
なぜ私がそいつに親切にしたかというと私は過去別の人に同じような施しを受けたことがあるからで、これぞ親切の連鎖です。こういうのが世界に溢れたらいいですね?

で、ボスのお店は都心の飲み屋街にあって、その日は丁度何らかの祭が開催されており大変な人混みだった。
マツリトランスフォームド状態の飲み屋街は地獄すれすれの混沌ぶりで、私はアホの酔っ払いがクリエイトした吐瀉物がどっかにあるんじゃないか絶対あるだろと気が気でなかったんだけど意外となくて命拾いした。
めちゃめちゃ人がいて、めちゃめちゃ酒があり、みんなめちゃめちゃ酔っているというのは不快かつ愉快という感じで地獄だけど地獄でなぜ悪いという心持ちにもなってくる。
私はこの土地の防災計画など知る由もないですが今大地震起きたら絶対ヤバいし共倒れになるな、この人たちと。でもまぁそれも良いかなって思って、全然良くないです。

まぁ天災については置いといて、やっと見つけたボスのお店に入ったら今宵は1年に1度の祭ということもあってやっぱ混んでいた。普段はそうでもないらしいんだけどめっちゃ混んでいた。

人と人の隙間から店内を覗いてみると、ボスがカウンターの内側でお酒を作ったりお客さんとお話するなどして忙しく働いていた。ボス……

友達が頑張って寄って行って、こんばんは今日めっちゃ混んでるなあみたいなことを言った、するとボスはこちらをご覧あそばして、「あっ女連れじゃ〜〜ん」と言ってウインク、親指と人差し指で○を作って覗き込むようなポーズをしつつ「いいね〜〜!」と仰った。
決めポーズなのか?と一瞬思ったが多分違う。無限にあるバリエーションの中のひとつだと思われる。
ボスに女と認知してもらった。
ボスはやはりすごい、接客をされているだけのことはあり 私みたいに微笑んでるんだか何なんだか曖昧な表情を浮かべその場に立ち尽くしているだけの存在にもきちんと笑顔を向けて下さる、私もきちんとした笑顔で返したかった。
友達とボス間で じゃあ今日のところは帰るわ、みたいなやり取りが多分あって、我々はボスの店を諦めた。

ボスとの邂逅は数分、
ボスは人気かつ多忙だった。

その後はあてもなくそこらへんをブラブラし終いにはホテル街の道端に座り込んで行き来する人々をぼんやり見ていた。
あのカップルは今からセックスをする、交わり間際の番いでございって感じなのヤバいね、ヤバいなぁ。
あれはデリヘル、携帯見ながら歩いてるから。
あれは分からん、何なんだマジで。
あー寒い意外と寒い。帰る?
そんな感じ。

ボスがどんな方だったか あるいはボスがボスたる所以などについて 何にも書けないのは何にも知らないからで、登場する友達についてもほとんど書けないのはやっぱあんまり知らないからで、インターネットはこういうことが起こる。インターネットという感じがする。